「アーカイブをアーカイブする」展示に行った
アーカイブ (archive) とは、重要記録を保存・活用し、未来に伝達することをいう。
Wikipediaより。
京都・亀岡にある「みずのき美術館」というところで行われた「アーカイブをアーカイブする」という展示に行ってきました。お知り合いの作家さんが出展されているというきっかけであまり考えなしで訪れました。
展示は3月25日(日) までやっております。
みずのき美術館とは
みずのき美術館は、母体である障害者支援施設みずのきの創立5年目に開設された絵画教室(1964年〜2001年)から生まれた作品の所蔵と展示、そしてアール・ブリュットの考察を基本に据えた美術館として、2012年に開館しました。
古くから「障害者による芸術の表現」を試み、実践してきた絵画教室。
ほかのブログ記事にも書いたかもしれませんが、私は絵画や文章で表現するものとしては、知的障害の人には太刀打ちできないと思っています。それは、障害でものがいえなくても自分を表現したいという、軽度の障害の私よりも何十倍、何百倍もの渇望と、純粋さ、たくましさ、強さを感じます。
だから、私はアール・ブリュットに興味をもつのです。
閑話
アーカイブと言えば………
私はついこの間「アーカイブ」を作っていました。
デザインスクールなどで作ったデザイン作品や仕事の実績、絵や文章などの表現活動作った作品やらを、小さくまとまったアーカイブを「Works Preview」と称して作っていました。
ただWebから絵画まで網羅したファイルを作ったのははじめて、それは普通のポートフォリオづくりと何も変わらず、通常「アーカイブ」と呼べるものではないのかもしれません。
端から見ると珍奇な作業、珍奇なファイルかも……。
アーカイブをアーカイブするということ
話をみずのき美術館に戻します。
芸術作品は、作家以外の者にとって、ある意味「危険物」めいたものです。非情にも、板や紙に描かれた作品は「物質」でもあるので、時が経つにつれ劣化していきます。
絵画教室で描かれた膨大な作品たちを、1つずつ、1つずつ、丁寧にアーカイブしていくスタッフの方々。精緻なルールのもとで撮影をし、番号をつけ、梱包し、棚に並べていく……。
現場はもう強烈な緊張感に包まれていることがわかります。
その作業の様子を、絵画教室に通っていたわけでもない「芸術家」たちが記録し、さらに「アーカイブしていく」こと。 なぜ普通の記録、もしくは、ドキュメンタリー……ではないのか。
あえて、記録を「芸術作品」として残す。 芸術家それぞれが見出した「役割」によって作品は生み出されていました。
それは、作品が絵画教室、美術館にとってとても大切なもので、と同時にアーカイブすることは大切な作業であって、それを単なる記録ではなくて芸術作品として残すことで、普通の記録だけでは「語られないもの」「整理する段階で見落とされてしまうもの」も残していけるのではないでしょうか。
多分作品1枚だけではなんのことかわからなくて、絵画教室と美術館の存在と、スタッフと異なる「役割」をもった芸術家と、アーカイブの現場と、なにより作品たちとがあってはじめてこの「アーカイブのアーカイブ」たらしめるものだから。
だから、閑話で語ったあの珍奇ファイルを思い出したのかもしれない。 仕事があって、スクールの作品があって、表現活動があって、それが全部つながった私がいて、はじめて成立するものだから。