茶鏡のブログ

HTMLコーダーが文句ばっかりぐちぐちぐちぐち言う日記です。

抜歯

神経まで侵した虫歯を、(注射が怖いから)麻酔なしで治療して、という無茶ブリをお願いしたのはいつのころだったろう。十何年、銀色の被せ物を載せていたその歯の容体が急変、ついに抜くことになった。

 

「残念ながら、今日は歯を抜きます。」

冒険の書が消えてしまったかのような物言いで、女性スタッフが今日の治療内容を告げる。大人なので、大人しく麻酔を打ってもらう。意識がふわふわとすると、先生がやってきて、私の口の中を金属の道具でゴリゴリと掘り始める。掘られている、ということをつかむ手がかりは音だけだというのが、不思議だった。終わりました、と起こされて右を向くと、台の上には、被せ物と、無残に割れた歯根のかけらが転がっていた。

 

綿を噛んで医院を出る。口が半分しか開かずふわふわしたまま、買い物をして、家に戻る。口が9割くらい開くようになり、噛んでいた綿を吐き出すと、口の中には、自分が思っていた歯の大きさ以上の、大きな穴が空いていた。自分の身体の一部を失う喪失よりも、十何年も持っていた悪玉をとりはらった、風通しのよさにスースーしている。

 

当然、力一杯噛めない。けれど、そのおかげか変に力が入らなくなって「なんでも簡単でいいか」ってなりはじめた。肩の力入りすぎとかいわれたり、歯ぎしりするくせがあるからなあ。そんなわけで、この記事も簡単に書いている。しょうもないことで、すみません。